写真集 2012

フィリピン現地観測報告

9月6日から27日にかけて、灘岡先生が日本側研究代表を務められているJST-JICA地球規模課題対応国際科学技術協力事業「フィリピン国統合的沿岸生態系保全・適応管理プロジェクト(通称CECAM)」の活動として、フィリピン国内のボリナオ、イロイロ、ボラカイ島でいくつかのグループに分かれ、現地観測を行いました。

ボリナオ
ボリナオは豊かな海藻帯を持ちますが、過剰なミルクフィッシュの養殖による富栄養化、河川や地下水による土砂や栄養塩等の負荷により水質問題が懸念されています。今回は、測器の設置・深浅測量・採水等を行いました。

BOLI-LAB.jpg   測器準備.jpg
左:ボリナオ調査で毎回お世話になるフィリピン大学の実験施設です。
右:フィリピン大学の学生と協力して調査の準備を行います。

測器設置.jpg   養殖.jpg
左:現地のダイバーに協力してもらい測器を海底に設置します。
右:いたるところでミルクフィッシュ養殖施設が見受けられます。

また、ボリナオは絶滅が危惧されているGiant Clamの保護地でもあります。
BIGCLAM.jpg 
見にくいですが大きさ60cm前後の二枚貝です。

イロイロ
河川からの土砂輸送や栄養塩流出および過剰な養殖等の問題を抱えているバナテ湾を中心に、多数の観測機器を展開した流動・水質調査や採水作業を行いました。

山本さん.jpg   バナテ.jpg
左:小さなボートに乗ってバナテ湾に出発します。
右:岸近くでは水質が悪化している様子がわかります。

測器バナテ2.jpg   雨量計設置.jpg
左:バナテに流れ込む河川の水量を測るため地元住民と協力し、堰の近くに測器を設置しました。
右:住民の許可を得てバスケットゴールに雨量計を設置します。

洪水.jpg 
降水時のイロイロ市街の様子。下水があまり整備されていないため、頻繁に冠水するようです。

ボラカイ
ボラカイは今年度から研究対象地として新たに加わりました。世界で最も美しいと言われ、毎年多くの観光客が訪れるWhite Beachは現在、サンゴの減少を主な原因とし深刻な砂浜侵食の被害に悩まされています。砂浜浸食の様子を把握するため、観測測器の設置・採砂・ネットワークカメラ設置場所の検討・深浅測量等を行いました。

whitebeach.jpg   ロブスター.jpg
左:約4km続くWhite Beach。生物由来の真っ白なパウダー状の砂浜です。
右:有数の観光地ということで、屋台には美味しそうなロブスターが並びます。

木の根.jpg   排水.jpg
左:砂浜浸食の影響で木の根が露出してしまった砂浜沿いの木。
右:生活排水が流れ込む場所も見受けられます。

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左:海底に測器を設置する様子。
右:サンゴが少なくなってしまった場所にはReef Budと呼ばれる人工構造物が置かれています。

説明会.jpg   船酔い.jpg
左:現地の方との協力体制を確立するために説明会を行いました。
右:海が荒れ船酔いするB4岩井くん。