写真集 2012

7/23-8/11 石垣島現地観測


沖縄県石垣島で夏季集中観測を行いました。

期間:7/23-8/11
内容:
・チャンバー
白保海域で開発中のサンゴ礁生態系モデルの精度向上のため、小型チャンバーを用いた現場飼育実験を行いました。今回は砂地、オトメミドリイシ、ユビエダハマサンゴを対象に、各24時間実験しました。実験中、ロガータイプのセンサーで溶存酸素やpH、クロロフィル、濁度、水温、光量子をモニターするとともに、定期的に炭酸系や有機物、栄養塩の試料を採取しました。また実験後、チャンバー内生物のバイオマス、クロロフィル含量、表面積、容積等を測定するために、坪刈りを実施しました。なお、実験には琉球大の中野さん、サンゴの生体の抽出には東大海洋研の森本さんにもご協力いただきました。中野さん、森本さんありがとうございました。
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サンゴを覆う「箱」チャンバー(左)と、実験で用いたサンゴの表面にアルミ箔を貼り表面積を図る様子(右)

・外洋調査
川平から平久保崎に掛けて、外洋域の水塊構造と水質特性(炭酸系、栄養塩、有機物等)の把握のため、海洋観測を実施しました。東大・大気海洋研の宮島さん、ベノアさんやJICAで研修に来ているChaさんと一緒に調査しました。生憎強い風と時折の雨、雷で海は荒れていましたが、船長が頑張って下さり、無事に調査を終えることができました。

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笑顔でピースするChaさん

・地下水調査
石垣島の前浜における地下水湧出状況を把握するために、久宇良、平野、浦崎、米原、吉原、吉野、底地等で調査を行いました。海岸付近での地下水の湧き出しかたにはムラがあり、また少し深い海底から湧出しているという地元の方の証言もあり、面白いですが実態解明はなかなか難しそうです。

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様々な場所で地下水調査を行いました

・吹通観測
沿岸生態系の一つであるマングローブにおける水・物質収支を明らかにするため、吹通河口部で25時間観測を2回行いました。観測中は採水、河口部の断面流速の測定を行い、研究室の皆で協力して行いました。

・社会経済調査
美味しい牛肉も生きてるあいだは栄養塩の多く含んだ糞をします。農家の方からすれば、厳しい経営状況で環境に配慮している余裕はありません。環境と農業の関係を明確にし、それらの両立を目指すべく経営に関すること、牛に関すること等を雑談を交えつつ農家の方に聞いて回っています。

・サンゴの健康度モニタリング
現地での短期間の動的な環境変動によるサンゴの応答を明らかにするため、一日の水温変動に着目し、光学的手法によってサンゴをモニタリングしました。環境因子の水温変動に関しては、水温や濁度、光量子についてセンサーをそれぞれ設置しました。 人間は寒いと青ざめ、熱いと汗をかきます。サンゴも一日の中で変化を起こさないかを期待しています。

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上手にフィンを使って海底に水中カメラを設置するB4山崎さん

・砂採集
サンゴ礁生態系の健全度が砂浜の維持や変化に与える影響について理解を深めるため、石垣島を一周するように14箇所の砂浜で砂のサンプリングを行いました。それぞれのサイトでの砂の構成成分や粒度、比重等の特性を分析していきます。また、9月に行われるフィリピンのボラカイ島での現地調査の際にも同様のサンプリングを行い、今回の分析結果と比較・検証を行っていく予定です。