白化 †
サンゴ礁を死滅させる原因の1つに、「白化(bleaching)」という現象があります。サンゴ礁に生息するサンゴの多くは「造礁サンゴ」とよばれ、褐虫藻(zooxanthellae, 共生藻)という植物プランクトンと共生しています。造礁サンゴは、通常、この褐虫藻がいるために褐色をしています。しかし、サンゴの体内から褐虫藻が消失し、サンゴの骨格が透けて真っ白にみえることがあります。この現象を、サンゴの「白化」といいます(写真1,2)。白化しても造礁サンゴは生きていますが、ある期間白化が続くと死亡してしまいます。
白化は環境悪化によっておこります。その原因の1つとして高水温があげられます。通常、サンゴは30℃以下の海域に生息していますが、30℃以上が数日続くと白化が起こります。この他、土砂の流入などのストレスによっても白化がみられます。
1997年〜1998年には、世界規模でサンゴの白化がおこりました。その原因の1つに、地球温暖化によって水温が通常よりも1,2℃上昇したことがあげられています。日本でも、琉球列島の沖縄本島周辺,石垣島周辺などや、本州のサンゴ群集でサンゴが白化し、枯死しました。また、2001年夏にも短期間でしたが、琉球列島で白化が確認されました。このように、白化が大規模におこったり、白化から完全に回復していないサンゴ礁で繰り返し白化がおこると、サンゴは死滅し、その回復は困難になってしまいます。