灘岡研究室 - 概要 陸域・外洋影響を考慮したサンゴ礁物理・生態環境システムの総合的観測と解析
基盤研究(B)(1)(一般) †
H12-13年度,計15,000千円 (代表者:灘岡)
「陸域・外洋影響を考慮したサンゴ礁物理・生態環境システムの総合的観測と解析」
概要:
現地観測や数値シミュレーション,リモートセンシングに基づいて,サンゴ礁物理・生態環境の実態を,陸域や外洋からの影響の把握を含めて行うことを目的としたものである.沖縄・石垣島の白保海域を対象サイトとし,サンゴ礁内外での係留ブイ等による多点同時観測を行うことにより,サンゴ礁内海水流動の基本的な力学過程,河川水や外洋水の流入・流出過程,濁質の輸送・巻上げ過程等に関する知見を得るとともに,白保海域に流入する轟川流域での連続観測によって表層土壌(赤土)流出特性を明らかにし,対応する分布型表層土壌流出モデルを陸域の地表面物理過程のモデル化に基づいて開発することにより,流出表層土壌濃度変動に関する実測値との良好な一致を得た.また,サンゴ礁生態システムを理解する上で重要な要素となる周辺生態系の典型であるマングローブに関して,石垣島・吹通川及び宮良川河口のマングローブ域で観測を行い,その基本的な水理特性や物質輸送特性を明らかにした.さらに,今後のサンゴ回復過程に密接に関わる研究として,サンゴ幼生の供給源を同定し,サンゴ幼生の広域移流拡散過程・輸送範囲・時間の解明を行うために,海洋短波レーダと,新たに開発したGPS搭載型小型漂流ブイによる広域表層海水流動・輸送に関する観測を沖縄本島西方海域を対象として行った.また,サンゴ礁のより合理的なリモセン・モニタリング技術開発に関して,従来の単純な面的な「底面反射率」の概念に基づく手法の限界を打破すべく,サンゴ礁海域での3次元的なサンゴ・キャノピー層に関する基本的な光学モデルを開発した.