写真集 2013

9月4日から10月1日にかけて、灘岡先生が日本側研究代表を務められているJST-JICA地球規模課題対応国際科学技術協力事業「フィリピン国統合的沿岸生態系保全・適応管理プロジェクト(CECAM)」の活動として、フィリピン国内のラギンディンガン、ボリナオ、バナテ湾、ボラカイ島でいくつかのグループに分かれ、現地観測を行いました。 今回はその中のいくつかのサイトについて紹介したいと思います。

参加メンバー: 灘岡・渡邉・山本・Sharma・Ferrera・岩井・安岡・吉開

バナテ湾
河川からの土砂輸送や栄養塩流出および過剰な養殖等の問題を抱えているバナテ湾を中心に、今回は前回と同様の海洋・河川調査に加え,マルチビームによる海草藻場のマッピング,フィッシュポンドの水質調査などを行いました.

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左:フィッシュポンド.1つの池に約1万匹のミルクフィッシュがいるそうです.
右:堰に採水するための機材を設置しました.

また,地元の人たちを対象にワークショップを開き,研究成果の報告や,これからの方針を,ディスカッションを交えながら発表しました.

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左:これまでの研究成果を報告する灘岡先生
右:ワークショップには,漁業関係の人たちに加え,農家の人たちも参加しました.

また,ワークショップ後には農家の人たちへのインタビューを行い,その後上流域のランドスライドの現場を視察しました.

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左:農家の人たちへのインタビューの様子.農地において毎年台風によって,
大規模な洪水が起こっているなど興味深い話を伺うことができました.
右:ランドスライドの様子.

ボリナオ
ボリナオは,フィリピン人がよく食べるミルクフィッシュの国内有数の養殖地として有名な場所ですが,その養殖業と環境保全の両方をどのようにして持続的な形で両立させていくかが課題となっている研究サイトです.
今回の9月調査では,養殖業の実態を知るための聞き取り調査,ミルクフィッシュの餌が堆積することによって環境が悪化している底泥の調査,サンゴ礁保全の為のサンゴ培養実験など,様々な調査を行いました.
また,研究の成果の共有と今後の課題の検討の為,現地の人々とのワークショップも行いました.

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左:聞き取り調査を行ったボリナオ魚市場.写真中央に並べられているのがミルクフィッシュです.
右:採取した底泥のコアを手にクールな表情のB4吉開君.この底泥は結構臭います….

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左:サンゴの培養実験の様子.数時間おきに採水をして,サンゴの生態を調べます.
写真はユビエダハマサンゴです.
右:サンプリング中のCharissaさんとフィリピン大学のBryan君.
採水は昼夜を問わないので大変ですが,皆で楽しく作業しています.

ボラカイ島
ボラカイ島は,美しい砂浜やサンゴ礁で知られ国内外から多くの観光客が訪れています.しかし,急速に進む観光開発によって様々な環境負荷が発生しています.持続可能な観光開発を実現するために,環境保護も視野に入れた新しい開発政策の策定が求められています.
今回の9月調査では,砂浜沿いの定期採水,砂浜の形成の時間的な特性を知るために堆積物のコアサンプリング,また人間活動が環境にどれだけ負荷を与えているか評価するための第一段階としてダイビングショップへの聞き込み調査及び上下水道処理施設・ゴミ集積施設の見学を行いました.
また,現地の環境保護を目的とするNPO団体が主催するワークショップへ招待され,これまでのCECAMプロジェクトでの研究成果等に関する発表及びディスカッションを行いました.灘岡研究室からは灘岡先生,修士1年の岩井君が発表を行いました.

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左:砂浜浸食がボラカイ島で深刻な問題となっています
右:島の上下水道を管理するBoracay Island Waterで施設の見学を行いました


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左:島では3つのゴミ集積場があり,多くの作業員が分別作業を行っています
右:ワークショップでは多くの関係者が参加し活発な議論が行われました

マングローブ調査
JST-JICA地球規模課題対応国際科学技術協力事業「フィリピン国統合的沿岸生態系保全・適応管理プロジェクト(CECAM)」の一環である,沿岸生態系の炭素貯蓄量であるブルーカーボン調査としてバナテ,バロタック,ラギンディンガンのマングローブの調査を行なってきました.
今回のサイトは全て,海に面しているフリンジングマングローブと呼ばれるマングローブで,灘岡研究室の調査地であるリバーラインマングローブである吹道と比較対象として大きな意味合いをもっています. フィリピンの調査でも日本で行なっている調査と同様に,マングローブの生態系調査,コアリングサンプル,また土壌中に含まれる間隙水の採取などを行ないました.

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ラギンディンガンのフリンジングマングローブ

またラギンディンガンの調査では,MSU(Mindanao State University)のDr.Uyさんの実習を受講している現地の学生に日本学術振興会外国人特別研究員である,Sharmaさんがブルーカーボンの概要やマングローブの調査方法の講義を行ないました.また実際にラギンディンガンのマングローブを調査対象としているMSUの学生へのアドバイスを行ないました.

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左:ブルーカーボンの講義を行なうSharmaさん
右:講義後の集合写真

今回の調査を通じて,マングローブ生態系及びブルーカーボンの有益なデータを得られたと同時に現地の学生になぜ今マングローブの調査が必要でどの様なことを行なえばいいのかを伝えられたことは,今後の研究あるいは生態系の維持管理においても有意義な調査になったと感じています.