サンゴ礁

サンゴ礁とは、造礁サンゴ(以下、サンゴ)などの造礁生物が堆積してできた地形/生態系です。サンゴは、体内に褐虫藻と呼ばれる小さな植物プランクトンと共生していて、これが光合成をするため、サンゴ礁は高い生産性を持っています。また、サンゴは石灰化を行い骨格を形成し、多くの生物の棲み家を提供していて、そこには多種多様な生物が生息しています。このように、サンゴ礁は他の沿岸海域や生態系に見られない、生物と地形が密接に関わった系で、そこに生息する生物だけでなく、我々にとっても水産資源・観光資源などとして、また、熱帯や亜熱帯にすむ人々の生活の場として重要です。

 しかし、近年サンゴ礁は、地球規模の環境変動や地域的な環境悪化のため破壊される危機にあります。琉球列島でも、1970年代に起こったオニヒトデ(サンゴを食べるヒトデ)の大発生や、開発による赤土流入(大量な土砂が陸域からサンゴ礁へ流れ、サンゴが窒息などで死亡する)による被害が相次いでいます。1998年には、世界規模で「白化(サンゴの体内にいる褐虫藻が、高水温等が原因で抜け出す現象)」とよばれる現象がおこり、琉球列島でも多くのサンゴが死滅してしまいました。この原因の1つには、地球温暖化により通常よりも海水温が1,2℃上昇したことが考えられています。こうした環境問題に対し、早急にサンゴ礁を管理・保全策を確立する必要があります。

用語解説

1)造礁サンゴとは?

 サンゴは一見、植物のように見えますが、実は動物です。サンゴはイソギンチャクやクラゲと同じ仲間で、「刺胞動物」と呼ばれるグループに属しています。体に刺胞とよばれる毒針をもつことからこの名前がつきました。また、体の構造が巾着袋のようになっていることから「腔腸動物」とも呼ばれています。サンゴ礁を作るサンゴは、「造礁サンゴ」と呼ばれ、体内に褐虫藻(植物プランクトン)を持っています。これに対し、宝石に使われるサンゴなどは褐虫藻を持たず、「非造礁性サンゴ」と呼ばれています。造礁サンゴは、褐虫藻が光合成を行うため光の届く暖かい浅海に生息しています。そのため、サンゴ礁は熱帯・亜熱帯の海域に見られます。

2)造礁サンゴの繁殖

 サンゴは、無性生殖・有性生殖によって増殖します(下図)。有性生殖では、体内に卵やプラヌラと呼ばれる幼生をつくり、海中に産卵・分散させます。プラヌラ幼生は一定期間たつと海底に向かい、定着・変態してポリプと呼ばれるイソギンチャク状の形になります。そして、骨格を形成しながら無性的に分裂を繰り返し、成長し、親のサンゴになります。

 また、サンゴの産卵方法は大きく2つ知られています。放卵放精型と保育型と呼ばれるものです。前者は、卵と精巣の塊(バンドル)を海中に放出するタイプで、後者は体内でプラヌラ幼生を作り放出するタイプです。

 放卵放精型のサンゴ多くは、満月の夜前後に一斉に産卵することがわかっています。その卵や幼生は浮力があり、海面に「スリック」と呼ばれる長い帯状構造を形成することがあります。灘岡研究室では、2001年にスリックの分布状況を調べ、さらにスリック内に開発した漂流ブイを放流し、船で追跡して、その行方を調査しました。

(サンゴ幼生広域輸送過程参照)

研究内容